もし、あなたの親が認知症で行方不明になったら

~名古屋認知症列車事故訴訟を受けて~

行方不明の高齢者

認知症の男性が列車にはねられた名古屋の事故の最終判決が出ました。今回の事故を受けて、「もし、自分の家族が認知症になって、一人で出かけて行方不明になってしまったらどうすればいいのか?」と考えた方が多くいらっしゃると思います。そこで、家族が認知症で行方不明になってしまったときに取るべき行動を5つのステップでお伝えします。

ステップ1 まず、周りに相談しよう。
「お父さんが帰ってきてないの。どうしよう。いつの間にか出て行ってたの。実は、お父さん、最近物忘れがひどくって。伝えてなくてごめんね、、、、」突然こんな電話がかかってきて、初めて自分の親が認知症かもしれない、と気づくケースが多々あります。思いもよらない電話に焦って、冷静な判断ができなくなってしまいがちです。ひとりで判断し、何か行動を取る前に、信頼できる仕事の同僚や家族などに「さっき母親から連絡がきて、父親が行方不明になったみたいで、、、」と話をしてみましょう。人に話すことで状況を整理することもできますし、一緒に考えてくれる仲間を増やすこともできます。

ステップ2 外見の特徴をメモし、電話をしよう。
行方不明になった認知症の方を探すのはとても大変なことです。特に同居をしていない場合は、最近の行動を把握できていないことが多く、どこを探したらいいのか途方に暮れることになります。そのため、できるだけ多くの人の協力が必要となります。まずは行方不明になった親の外見の特徴(身長、体型、着ていた服など。写真も用意)をメモして整理をし、下記のところに電話をしましょう。ステップ1で相談した第三者に手伝ってもらうのもよいでしょう。
・親が住んでいる地域の「地域包括支援センター」(高齢者のよろず相談所です)
・警察
・交通各社(タクシー、バス、電車)
・自治会、民生委員 など
インターネットで調べれば、多くの場合電話番号が出てきますので、一斉に連絡してください。行きそうなところを一緒に住んでいる家族(今回の場合は母親)に聞いて、協力者と手分けして捜索をしてください。地図を塗りつぶしながら探すと効率的です。

ステップ3 見つかったら健康チェックをしよう。
何とか本人を見つけることができたら、まず健康チェックをしましょう。「痛いところはないか、寒かったり暑かったりしないか、苦しいところはないか」などを聞き、血圧・体温・脈拍を測ってください。先ほど挙げた地域包括支援センターには保健師が配置されているので、その場で健康チェックをしてもらえます。転んで打撲や骨折をしていたり、寒い中薄着で歩いて熱を出していたりすることがあります。また、注意していただきたいのは「もう!たくさんの人に迷惑をかけて!勘弁してよ!」と認知症の親を怒ってしまうことがよくあります。お気持ちはわかりますが、できる限り怒りをぶつけないようにしてください。後の介護に悪い影響があります。

ステップ4 すぐに再発防止策を考えよう。
認知症の方の行方不明騒ぎは、多くの場合、何度も繰り返されます。見つかってホッとしているところで、すぐに再発防止策を考える必要があります。この時に「お父さんのためにできるだけ家族でがんばろう!」となって、別居していた子供が同居したり、同居している家族が玄関で寝るようにしたりすることがあります。急場しのぎの対策としては有効ですが、身体が元気な認知症の方の介護は、長きにわたることがほとんどです。家族だけで抱え込んでしまうと、仕事を辞めなければならなくなったり、慢性的に睡眠不足の生活が続いたり、ますます悪い状況に追い込まれてしまいます。

ステップ5 できるだけ人の手を借りよう。
結論から言えば、家族の認知症介護を続けることは、人の手を借りなければかなり難しいです。すぐにできる3つのことがあります。

①親が住んでいる地域の「地域包括支援センター」に相談しましょう。これが最初のステップです。利用できるサービスを洗い出してもらいましょう。介護保険の申請を代理でしてもらうこともできます。認知症の診断を受け方のアドバイスをもらうこともできます。
②近所の人たちに協力を仰ぎましょう。連絡先をお知らせして「何かあったらすぐ連絡してください」とお願いしておきましょう。
③再度行方不明になったときのために、靴や上着にGPSを付けておきましょう。セキュリティ会社や携帯電話会社がサービスを提供しています。かなり精度の高いものが月額1,000円以内で安価に利用できます。

今回の名古屋の事故・判決は、家族がたとえ認知症になっても、よい家族関係でいるためにはどうしたらいいのか、考えるキッカケになると思っております。とにかく、心に止めておいていただきたいのは「家族だけでは介護は大変。人の手を借りなければならない」ということです。介護を家族だけで抱え込んではいけない、ということです。いざという時のために、まずはココロの準備から進めてみてはいかがでしょうか。

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