2020.09.23
介護と子育てを同時に担う「ダブルケア」とは?
2020.09.23
●ダブルケアとは
「ダブルケア」とは、「介護」と「子育て」といったように、家族や親族など複数のケアに携わることを指す言葉です。横浜国立大学 相馬直子教授、英国ブリストル大学 山下順子上級講師が2012年よりその実態を調査研究し続け、この二人の研究者により作られた造語です。
●「ダブルケア」は増加傾向
二人の研究者と企業がともに行ったアンケートでは、調査対象(大学生以下の子どもを持つ父親・母親)の5人に1人は「ダブルケアが自分事の問題」と回答するほど、身近な問題として捉えられています。
たとえば…
ある男性の例)
妻が親の介護のために実家通いを続けていたが、遠距離で金銭的・身体的負担を軽減するために、里帰りしての介護となった。そのため、自分が働きながら3歳児の育児を担うことになり、ギリギリで生活を回している。
ある女性の例)
育休中に、倒れた父親の介護を手伝うことに。女性(娘)の手助けを前提として介護体制が組まれてしまい、育休から職場復帰ができず、介護休暇の申請をすることとなった。
特に、女性は育休中に、子育てを手伝ってもらっている後ろめたさから、自分でも気がつかないうちに日常的な介護要員となり、追い詰められた末に育児ノイローゼと介護うつを同時に発症してしまう方が少なくありません。
●介護はプロに任せた方が上手くいく
ダブルケアを一人で担うと、「子育て」「介護」の板挟みになり、早い段階で行き詰まってしまうでしょう。「育児」と「介護」は共通点が多く、2つを「大切な家族の世話」として同様に考える方もいますが、「介護はそれまでの家族関係を維持することが重要で、直接の介護は人に任せた方が上手くいく」という点で大きな違いがあります。そのため、自身が直接関わることができても介護保険などによる介護サービスを利用し、外に助けを求めてください。
●育児中に介護を担う前に、介護プロに相談を
そうはいっても、一度直接の介護を担ってしまうと、抜け出せなくなってしまいます。「子どもを連れていくと喜ぶ」「子育てのときに母が近くと助かる」という想いから、いつの間にか直接の介護を担ってしまいがちです。自身がこのような状況に陥ってしまいそうなときは、とにかく早めに“地域包括支援センター”や“ケアマネジャー”といった介護のプロと繋がり、外部の力を借りることを考えてください。