2021.01.27

冬に気を付けたい!高齢者の「ヒートショック」とは

2021.01.27

冬に気を付けたい!高齢者の「ヒートショック」とは

●交通事故よりも多い!高齢者の不慮の事故による死因ベスト3

<高齢者の不慮の事故による死因別死亡者数(3年ごとの年次推移)>

出典:令和元年12月18日消費者庁NewsReleaseより

高齢者に限っては、交通事故よりも上記の不慮の事故で死亡する人の方が多く、それは増加傾向にあります。

●寒い季節に急増する「溺死及び溺水」事故
 寒い季節に死者数が急増するのが「溺死及び溺水」の事故。その主な原因は、急な血圧の変動で起こる「ヒートショック」と呼ばれるものです。

【「ヒートショック」の原因】
・急激な寒暖差
・風呂の水圧
・急に立ち上がる
・食後、飲食後の入浴
・医薬品の副作用

などがあげられます。

「ヒートショック」が一番起きやすい場所は、寒暖差が激しい「お風呂場」。排便時の力みにより血圧が急上昇しやすい「トイレ」も注意が必要です。

【「ヒートショック」を防ぐためには】
・入浴前に熱めシャワーで洗い場を温める
・フタをしないでお風呂を沸かす
・お風呂やトイレに暖房器具を取り付ける
・飲酒後の入浴は避ける(特に旅行先では注意が必要)

【高齢家族の入浴に介護サービスを活用】
・デイサービス(送迎付き日帰りケア)で入浴
・ホームヘルパーなど、人がいる時間に入浴
・ホームヘルパーや訪問看護師に入浴介助を頼む

●リスクのある入浴こそプロのサポートが必要
私も寝たきりの人の自宅に訪問して入浴サポートする「訪問入浴」の仕事をしていました。プロによる入浴の目的は、身体を清潔にするだけではありません。「ヒートショック」を防ぐために、入浴前後のバイタルチェック(血圧・体温・脈拍)によって入浴中・後の急な体調変化に注意し、皮膚の状態を観察して早期受診につなぐこともあります。
トレーニングを受けていない家族では入浴させることだけで精一杯になり、転倒などの事故にもつながります。ぜひ、プロのサポートを活用してください。

●今は大丈夫でも「地域包括支援センター」に相談しておこう!
 「ヒートショックのことが心配で…」と、地域包括支援センターに相談しておくこともおすすめです。入浴のサポートを受け入れてもらうまでに、それなりの時間を要することがあります。一人での入浴が難しくなってから家族だけで説得するのではなく、早い段階からプロと一緒に対策を考えていくことで、安心して入浴できる体制づくりにつなげることができます。

●本格的な冬が来る前に家族で話し合ってみよう!
 「冬はお風呂場での事故が多いみたいだけど、何か対策をしている?」といった会話から、高齢の家族の入浴に関する現状を知ることから始めてみましょう。