2022.10.05

高齢者の体調変化はわかりにくい!?

2022.10.05

高齢者の体調変化はわかりにくい!?

真冬や真夏よりも、季節の変化があるこの時期の方が、ご高齢の方は体調を崩しがちで、入院に至るケースも少なくありません。そこで今回は、高齢の家族の体調変化について、お伝えしたいと思います。

●高齢者は肺炎にかかっても熱が出ない?
高齢者の方に多い病気である肺炎。75歳を過ぎた後期高齢者は、熱や咳、痰の症状がなく(または軽い状態で)、突然に意識がもうろうとして倒れたり、痙攣(けいれん)を起こしたりする意識障害を起こすことがあります。
また、免疫機能の低下で病気にかかりやすく治りにくいため、ちょっとした体調変化でも、早めの受診が重要になります。気軽に相談できる、かかりつけ医を決めておくと、より安心につながるでしょう。

●家族に心配をかけたくない気持ちがアダになる?
高齢の家族は「仕事や子育てで忙しいのに余計な心配をかけたくない」と、それほど辛い症状がでなければ、連絡するのは気が引けるようです。そのため、こちらから仕事や子育てなど身近なことを相談したり、無理のない範囲で普段から気軽に声を掛けし合える関係づくりを進めておきましょう。

●早めに気づくための体制づくり
企業の介護相談で、「一人暮らしの母が心配で、毎日実家に通っています」「父のために毎週末、新幹線で帰省しています」という方がいます。私はそのような方に「家族が担っていることを少しでも近所の方や介護サービスで代替できませんか」と伝えています。介護負担が重くなり、支える家族が先に倒れてしまうケースがあるからです。「遠くの家族よりも、近くの他人」という姿勢で、高齢の家族の近隣に見守りの体制を作っておくことが大切です。
「何か変わったことがあったら、気軽に携帯に連絡ください」と隣近所の方に声をかけておくなど、近距離(もしくは同居)に高齢な家族がいる方も、仕事中などに体調変化があれば、早めに気づくことができる体制作りをしていただければと思います。

●一番大切なのは家族の心構え
付きっ切りで介護をしても、肺炎や転倒を完全に防ぐことはできません。要介護状態になっても、その現実を受け入れる家族としての心構えが一番大切だと考えています。可能であれば、きょうだい、親戚、高齢の家族と、有名な方が入院されたり亡くなられたりしたときに「母さんならどうしたい」と、話題を提供してみるのもいいでしょう。

この季節の移り変わりに合わせて、これからのことについてお話しすることは、素晴らしい親孝行につながります。まずは小さな一歩を踏み出していただけたらと思います。