2022.11.28

父親が突然救急搬送!~退院までにやるべきこと~

2022.11.28

父親が突然救急搬送!~退院までにやるべきこと~

 男性が要介護状態になる原因でもっとも多いのは脳梗塞(脳溢血)です。脳梗塞とは何らかの原因で脳に分布する血管が詰まり、血液が流れないことによって発生する脳の病気。主な症状として、片方の手や足に力が入らない、ろれつが回らず言葉がうまく出てこない、視野が欠ける、めまいがするなどの症状が突然現れます。また個人差はありますが、多くの方が再発や後遺症に悩まされます。

 今回は家族が脳梗塞で入院したあと、介護が必要になった家族が退院するまでに、どんな準備や心構えをすればいいのかをご紹介します。

●Bさんの例
 Bさんの70代の両親は二人暮らし。ある日、父親が泡を吹いて倒れているのを、母親が発見。救急車でやっと受け入れ先が決まり病院へ。一命は取り留めたものの右半身に麻痺が残りました。

 病院嫌いの父親は家へ帰ることを強く希望。母親、Bさんと近くに住むきょうだいが協力して在宅介護をするということで、退院を急ぎました。ところが、父親の介護で母親が体調を崩しました。そのため、Bさんきょうだいが泊まり込み交代で、父親を介護。心身ともに負担になっています。

●退院の前にできる準備とは
 ある日突然家族が倒れ、手術、入院、介護と、そんな目まぐるしい状況を想像しただけで、誰しもが不安になるものです。
 Bさん家族は日常が一転して、冷静ではいられなくなったはずです。そんな中、次から次へとやるべきことを課せられ、決断をしなければなりません。だからこそ、「状況を受け入れて冷静になること」がとても大切です。

●まずソーシャルワーカーに相談
 入院から退院、転院まで長くても3か月程度。その間にやるべきことは、病院に所属するソーシャルワーカーへの相談です。ソーシャルワーカーの役割は、医師や看護師、理学療法士と連携を取り退院に向けた調整を図ることです。リハビリ病院への転院、退院後の在宅介護でどんなサポートが必要で、どんな制度を利用できるかなどを教えてくれます。

 ソーシャルワーカーの連絡先は、医療機関のホームページから調べることができることも少なくありません。ソーシャルワーカーは多忙のため、こちらから積極的にコミュニケーションを図り、相談をもちかける必要があります。 

●いつまで続くかわからない介護の心構え
 Bさんのように、父親の希望を優先して準備が整わないまま在宅介護がはじまるケースはよくあります。しかし、適切なケアやサポートを十分に受けられないと、介護をする側が心身共に疲弊してしまいます。

 長く続くかもしれない介護を無理なく穏やかに過ごすための準備は、介護を受ける側、介護をする側にとっても必要なことです。早期にソーシャルワーカーへの相談ができれば、退院前から家の環境整備、介護保険の申請、ケアマネジャーの決定など的確な準備が進められます。

 介護で家族関係を悪化させないためには、どんなケアが必要で、どんな制度が活用でき、どんな心持ちで向き合うのか、などをプロに相談しながら理解していく必要があります。突然の事態だからこそ家族だけで判断せず、ソーシャルワーカーなどのプロを頼ることが重要です。