2023.03.22

「家族だけで介護してはならない理由 ~大切に想う気持ちが虐待へとつながってしまうストーリーから~」

2023.03.22

「家族だけで介護してはならない理由 ~大切に想う気持ちが虐待へとつながってしまうストーリーから~」

「家族の介護=家族がやるもの」というイメージがあっても、介護の現場にいたものとして、介護はプロに任せるべき、というのが実感です。今回は介護を家族だけで抱えこんだ結果をストーリー仕立てでお伝えします。

●介護を家族だけで抱え込んでしまうと…
1、要介護状態の家族と直面し、元気だった時との落差に苦しむ
認知症の家族が、手づかみでご飯を食べる姿に寄り添い続けるのは大変なことです。でも家族だからという気持ちで、ひたむきに介護することになってしまいます。

2、仕事を辞めざるを得なくなる
介護は日々状況が進行し、かかる手間も増えて手一杯な毎日になり仕事を休まざるを得なくなることがあります。施設入所を考えても探す余力もなく、どこも入居させてくれないと仕事を辞めることになってしまいます。

3、経済的安定を失う
仕事を辞めると、減っていく預貯金に精神的にも焦りを感じ家族の介護に向き合わざるを得なくなります。

4、介護を人に頼みにくくなる
要介護の家族を預かり、食事やお風呂の世話をしてくれる送迎付きのサービス(デイサービス)の利用にも1回1,000~1,600円前後の費用がかかります。(デイサービスの種類や要介護者の介護度によって料金がかわります)。仕事を辞めると、金銭的な理由で介護サービスの利用を諦めるケースも少なくありません。

5、社会との関係がなくなってしまう
介護サービスを利用しないと外との関係が希薄になり、介護が必要な家族との密室の関係が出来上がってしまいます。

6、介護ストレスが蓄積して虐待につながってしまう
社会との関係がなくなると「この家族を世話できるのは自分しかいない」と考え、
介護によるストレスが蓄積して虐待につながってしまうこともあります。

大切な家族だからこそ、直接介護することにこだわりって最悪の事態を招いてしまうことを知っていただきたいと思います。
家族の介護と上手に向き合えっている方は、早い段階で地域包括支援センターに相談して、プロの手を借りながら介護をしています。たとえば、仕事で培ったマネジメントの力を家族の介護でも発揮して介護サービスの調整やスタッフのモチベーションアップなど、自分が関わらなくても回る介護体制作りをしています。どうか、家族だけで抱え込まずに、上手に介護と向き合っていただければと思います。