2023.04.19

きょうだいに上手に介護を手伝ってもらう方法とは?

2023.04.19

きょうだいに上手に介護を手伝ってもらう方法とは?

今回は、親の介護をきょうだいにうまく協力してもらう方法があるのか、日々の介護相談の経験から解説いたします。

【Aさんの相談内容】
・2人姉妹の妹で独身
・状況:87歳の母親と同居しているため、自分にばかり介護がのしかかっている。結婚した姉は実家から車で20分ほどの場所に住んでいる。子どもたちはすでに成人しているため、姉にも母の生活のサポートや通院に協力してもらいたい。

●誰が親の介護を担うのか
 「親の介護は長男の嫁が担う」という時代もありましたが、急激な少子高齢に伴い、現在は誰もが家族を介護する時代になりました。親に介護が必要となったときに、きょうだいの誰が介護するのかが大きな問題になります。ここでの話し合いが上手くいかなかったことから、先々のトラブルへと発展していく可能性もあります。
介護というものは急にはじまることが多いため、Aさんのようになし崩し的にとりあえず近くに住んでいる人が引き受けることが少なくありません。

●介護の負担は平等にできるのか?
 そもそも介護の負担は、仮にきょうだいで役割分担をきっちり決めたとしても、平等に割り振ることはできません。それぞれの事情がある中で「私だけが大変な思いをしている」という苦しさから、きょうだいへの恨みつらみが募ったり、金銭を要求したり、さらには親にまであたってしまうといった話も耳にします。

●自分の負担に気づく
Aさんのケースならば「お姉さんに手伝ってもらう前に、自身の負担を下げる」ということです。お姉さんに手伝ってもらいたいと考えるほど、Aさんには過度な負担がかかっていることに気づいていただきたいのです。

たとえば…
・食事やトイレ、入浴などのサポートが負担
→ヘルパーやデイサービスを利用

・病院への付き添いに負担
→訪問診療の利用や自治体やボランティアの介助サービスを依頼

親が介護サービスを拒否するのは、同居家族のサポートが拒否できる状態を作ってしまっていることが殆どです。

●本当の意味での「よりよいケア」とは
 要介護者と一緒に暮らしていると、さまざまなことが目について先回りしてしまうこともあるでしょう。一見、優しさともとれる行動ですが、本人ができることを奪ってしまい、要介護状態を促進させるということにもつながります。

いっそのこと、別居と言う形で距離を取ってみてはいかがでしょうか。物理的に距離をおくことで、俯瞰して物事を考えられるようになります。それは決して介護を放棄するわけではなく、良好な親子関係を維持し、無理なくよりよい介護体制を作ることを目指しましょう。