2025.06.04

実はなかなか難しい!家族介護について上司への伝え方

2025.06.04

実はなかなか難しい!家族介護について上司への伝え方

 2025年4月1日から「改訂育児・介護休業法」が施行されました。仕事と育児・介護を両立しやすくなるために、柔軟な働き方ができるような処置の拡充や、介護離職防止のための両立支援制度の強化などが盛り込まれています。ただ、制度を利用するには、自分の家族の介護状態を上司や会社に伝える必要があります。そこで今回は、「家族介護について上司への伝え方」について、実際にどのようなタイミングで伝えるのがベストなのか、またその具体的な方法を解説します。

●なぜ、伝えるのが難しいのか
 今回の法改正により法律に定められたからといって、家族の介護状況を会社や上司に伝えることは決して気軽にできることではないでしょう。家族の介護はプライベートなことと考えられがちで、職場で開示するのは高いハードルがあります。その結果、「もう仕事を休まなければどうにもならない」と切迫した状況となってから、初めて伝えるケースがほとんどです。ただ、そのようなタイミングでは、すでに何らかの介護を抱え込んでおり、仕事と介護の両立が難しい状況になっている場合も少なくありません。「仕事に穴を開けてしまうことは避けたい」「会社に迷惑をかけたくない」という気持ちから、土日や有休を活用してギリギリまで仕事と介護を頑張ってしまい、気づかないうちにストレスを溜めて、仕事でミスを続けたり体調を崩したりしてしまうことがあります。

●上司に伝えるタイミングとは
 まだ親の介護なんて想像がつかないという段階から、自分の現状を整理するために現在の親の状況や自分の仕事の状況をノートなどに書き込んでみてください。頭の中だけで考えるのではなく、文字にして書き起こすことで客観的に将来を見据えることができますし、上司に相談する際にも役に立つはずです。

早い段階から上司に相談ができていると、仕事と介護の両立にも繋がりやすくなります。また、状況を把握してもらえている安心感も得られ、いざその時が来た場合でも、言い出しやすさや休みやすさにも繋がります。急な仕事の調整や穴埋めなどは、会社や上司にとってはかなりの負担となるので、早いうちから「将来的にこういった状況になる可能性がある」といった情報を可能な範囲で伝えておきましょう。
 仮に、「もう介護のために自分が仕事を休むしかない!」と考えていたとしても、介護体制を整えたうえで、介護保険による介護サービスの利用で仕事を休まなくて済むこともあります。仕事を休まないで介護体制の調整に徹する方が、やりすぎ介護になりにくく、親子関係を良好に保ち、親の長生きを自然と喜べるようになります。