2020.12.03

データから読み解く「介護離職を防ぐ方法」とは?

2020.12.03

データから読み解く「介護離職を防ぐ方法」とは?

「介護のことは関係ない!」という方にこそ、読んでいただきたい“介護に関するデータ”をいくつかご紹介します。

①仕事と介護の現状

出典:令和2年版高齢社会白書

日本は世界に例がない程のハイスピードで、超高齢化社会になりました。私が生まれた1980年は、7.4人で1人の高齢者を支えれば良かったのですが、2020年は2人で1人の高齢者を支えなければならないのです。この変化に私たちの考え方が付いていかず、いつの間にか家族の中で介護がやりきれない環境になってしまいました。

②介護の全体像 年齢別の介護認定を受けている方割合

出典:生命保険文化センター

85歳以上の6割は何らかの介護認定を受けていますが、これは介護申請の手続きをした方のみで、もっと多くの方が介護状態となっていることが推測されます。さらに、介護が必要となる可能性がある家族は実の親だけではありません。配偶者の親、さらに子どものいない親戚まで考えると、働いているうちに介護に関わらず現役を終えられる方はほとんどいない状況となっています。

③介護の全体像 介護が必要になった理由

出典:令和2年版高齢社会白書

私は介護職として、最初は寝たきり方などの「訪問入浴」、次に「認知症方専門のデイサービス」で働きましたが、それぞれ介護職として求められるタスクが全く異なりました。介護はその原因疾患によって、支援の方法が全く異なり、これだけバリエーションのある介護を家族だけで抱え込むことはそもそも非常に困難で、家族として重要なことは相談できる場所を知り、どのような状況であっても、余裕をもって関わることができるよう準備しておくことです。

④企業内の介護離職リスク

出典:経済産業省「2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について」

年間で10万人が介護離職し、経済的には6,500億円の損失があると言われています。さらに、私は年間約400人から個別相談を受けていますが、介護離職した方が家族の介護環境の改善につながるケースは一つもありませんでした。つまり、介護離職は“誰にとっても良い形を生まない選択”なのです。

⑤介護離職者の実態

出典:株式会社大和総研「介護離職の現状と課題」

すでに、「介護離職」は非正規で働く人より正規で働く方が多い状態となりました。これに加え、主たる介護者の男女比は、以前は「男性1割、女性9割」で、現在は「男性3割、女性7割」と男性の割合が年々増えています。「男性で一家の大黒柱で、女性(母、妻、姉など)に任せておけば何とかなる」という考えが、まかり通らなくなっているということです。

このような状況下であっても、安心して仕事を続けるためには、早い段階から情報収集をしたり、介護の相談先を確保をしたりすることが必要不可欠です。どんな些細ことでも「介護」に関して不安なことがあれば、地域包括支援センターへ電話でもいいので相談してみましょう。「いざ」というときの前から、繋がりを作っておくことが大きな安心となるはずです。