2021.08.18

きょうだい間トラブルを防ぐのは「早めの情報発信」

2021.08.18

きょうだい間トラブルを防ぐのは「早めの情報発信」

 「介護によるきょうだい間のトラブル」について、以前のコラムでも書かせていただきましたが、次のような相談事例から、改めて、みなさんとこの課題について考えてみようと思います。

参考:きょうだい間で揉めてしまわないために、今からしておくべきこと

●Aさんの例
・父親の他界後、一人暮らしの母親に認知症が疑われるようになってきた
・近くに住む長女のAさんが、郵便物の整理や行政への手続き、受診の付き添いなどをサポート
・兄が母親の現状を把握しておらず、妹であるAさんに連絡をしてくることも滅多にない
・母親は自身に認知症の疑いがあることを認めようとしない
・Aさんとのやり取りに不満を感じた母親が、兄へ相談すると、きょうだい間のトラブルにつながってしまうのではないか、と不安に感じる
・今のうちに母親の現状を兄に伝えたいが、どのようなタイミングで連絡するべきか、迷っている

●介護が始まる前から、きょうだいへの情報発信を
 きょうだいから反応がなくても、介護が始まる前から、些細なことでも、親の生活について情報発信をすることが重要です。きょうだい間で親に関する情報格差を減らしていくことで、未然にきょうだい間のトラブルを防ぐことにつながります。きょうだい間で作ったLINEグループのおかげで、いざという時も連絡が取りやすかった、という方もいらっしゃいます。
 さらに、コロナ禍の今は、きょうだい間での連絡をはじめる絶好の機会です。例えば「コロナニュースを見すぎで恐怖心が煽られ、閉じこもりがちになってしまった」「接種券を無くして2時間も探したみたい」「予約を手伝って、何とか無事にワクチンの接種が終わったよ」など、話のネタになる出来事がたくさんあります。ぜひ、この機会に始めてみてはいかがでしょうか。

●きょうだい間での情報格差がトラブルの元となることも
Aさんの例で言えば、
・Aさん→母親の認知症の進行が心配で、何とかデイサービスを利用させたい
・母親→私は何も問題ないのに、娘(Aさん)が「一日中家の中にいないで、デイサービスにでも行ってみたら?」とうるさく言ってくる
・兄→母親が問題ないと言っているのだから、まだデイサービスは必要ないのでは?
 このような平行線の状態のまま母親の認知症が進み、Aさんが一人で抱えきれなくなっ
てから、現状を知らされた兄は「なんでもっと早く言わなかった?」「近くにいるお前がもっと早く気付いて治療すべきだったのでは?」「介護費用はどうするつもりなんだ?」と、急に突き付けられた現実に動揺してしまい、Aさんとの衝突を繰り返すことになりかねません。このようなきょうだい間の衝突は、かなりのエネルギーを消費するにもかかわらず、母親の支援にとって全くプラスになりません。
一方で、「いざ!」というときのために早い段階から情報発信ができていれば、兄も現実を受け入れる余裕が得られ「何かできることはないか」と協力的な対応を引き出すことにつながり、Aさんとしても、兄へSOSが出しやすくなります。結果、一人で抱え込まず、きょうだいで一緒によりよいサポートを考えられるようになったケースも少なくありません。それまで疎遠であったきょうだいが、親の介護をきっかけに連絡を取るようになり、信頼関係を強くされたこともありました。

●嫁や婿という立場の方は
 介護に不安を感じる身近な家族として、嫁や婿という立場の方もいます。元々の関係性もありますが、多くは夫や妻のきょうだいと、直接やり取りをすることが難しいのではないでしょうか。その場合、夫や妻からきょうだいに発信してもらいましょう。いつの間にか「何もしないくせに、口ばっかり出して!」というストレスを溜め込んでしまわないよう、やはり早めの情報発信が重要となります。

●第三者の力を借りて情報発信
ただ、それまでの関係性やちょっとしたタイミングで、連携が難しいこともあるでしょう。きっとうまくいかないだろう、と予測される場面もあるかと思います。そういった場合は、情報発信を諦めたり、強引にきょうだいとやり取りしたりせず、地域包括支援センターやケアマネジャーなど、第三者の力を借りることをお勧めします。具体的には、地域包括支援センターやケアマネジャーがと共に、今後の支援の方針を話し合う場(担当者会議やケアカンファレンスと呼ばれます)に、きょうだいが電話やオンラインツールなどで参加してもらうことも効果的です。