2021.11.03

離れて暮らす高齢の親がスマホを使ってくれない…

2021.11.03

離れて暮らす高齢の親がスマホを使ってくれない…

 離れて暮らす親についての介護相談の中で「気軽にメッセージをやり取りしたり、顔を見ながらビデオ通話できるアプリがあるので、親にもスマホを持ってもらえたら便利なのですが、なかなか納得してくれません」といった声があります。では、どうやって親にスマホを持ってもらえばよいのでしょうか。

●見守らなければ!という想いから無理強いしていませんか?
結論からお伝えすると、親が「スマホなんか必要ない!」と訴える中、子どもから無理やり持たせるのは難しいでしょう。悪いことは言いませんので、諦めてください。最近では、各地で開催されているスマホ教室に通い、LINEなどのアプリを使いこなす80~90代の方もいらっしゃいます。ただ、あくまでも本人が興味を持つことが前提です。コロナ禍の中で会えずにいると、“親を見守らなければ!”という責任感やプレッシャーから「スマホくらい持ってよ!」と、迫ってしまう方が少なくありません。
 何とか親にスマホを持たせて「ご飯食べてる?」「今日は運動した?」など、子どもの価値観で親を見守って“あげている”つもりでも、監視カメラで見張られているように煩わしく感じて、与えられたスマホのスイッチを切ってしまったり、しまい込んだりするケースもあります。親の気持ちに気づくことができず「せっかく時間を使って手配したのに、なんで言うことを聞いてくれないんだ…」と、悩まれる方がいらっしゃいますが、そもそも、親は言うことを聞せる対象なのでしょうか?

●親にスマホを持ってもらうことで生じるトラブル
よく耳にするのが「ガラケーのサービスが終了する前に、スマホに機種変更をしてあげたのに、親がスマホの使い方がわからず、電話すらできなくなった(または、昼夜問わず使い方を聞いてくるようになった)」という話です。親にスマホを持ってもらうことが、むしろ大きなトラブルにつながることもあるのです。

●スマホの所持は親の意思に任せるべき
 固定電話やガラケーのままでも、親が使い慣れているのであれば、そのままでも問題ないのではないでしょうか(3G回線は終了しますが、4Gに対応するガラケー機種もあります)。私たちにとって便利であっても、親が便利と感じるとはかぎりません。どんな手段であっても、親と気持ちよく“コミュニケーションを取ること”が大切なのです。子どもの責任を強く受け止め、“子ども側の安心を得るための手段としてスマホを持たせようとしていないか”、改めて考えていただければと思います。