2021.12.15

認知症によくある誤解とその対応策とは?

2021.12.15

認知症によくある誤解とその対応策とは?

 認知症介護に関するセミナーで参加者さまから以下のようなご質問をいただきました。
Q家族が認知症になったら、どうしたらいい?
Qコロナ禍で引きこもる親が認知症になったのかもしれない?

そこで今回は、「認知症によくある5つの誤解とその対応策」についてお伝えします。

【誤解1】物忘れはあるけど「まだ大丈夫!」
➡認知症の多くは進行性。早い段階からプロに相談することで、スムーズにプロのサポートに繋げることができます。問題が起きてからでは、その対応で手いっぱいになり、相談する余裕がなくなってしまいます。

【誤解2】家族との会話で認知症の進行を防止
➡元気な時のように会話が通じないと、感情的な声掛けになってしまいます。認知症となったときの記憶は感情に紐づいたものが残りやすいため、指摘するような声掛けでは、当事者にストレスが蓄積されていきます。認知症の進行を防止するための会話には、知識・技術・経験とともに、他人だからこそできる冷静さが必要不可欠で、プロに任せていただくことが重要です。

【誤解3】デイサービス利用に向けてカレンダーに予定を書き、繰り返しの声掛けをする
➡デイサービスがどのような場所か理解が進まないまま、カレンダーに予定が書かれていたり、繰り返しの声掛けをしたりすると、何かに迫られているような感覚から不安や混乱が生じてしまい、「そんなところへの行かない!」といった強い拒否となります。デイサービスの職員やケアマネジャーと家族が話し合い、本人が穏やかに出かけられるような方法を考えることが重要です。

【誤解4】何とか病院受診させる
➡自身の記憶の低下に気づきつつある方が、病院受診で認知症が確定することに強い恐怖を感じるのは当然です。強引な受診は家族に対する不信感に繋がります。認知症の診断を受けなければ介護サービスがスタートできないわけではありません。受診の進め方も地域包括支援センターやケアマネジャーに相談して、本人の良きタイミングで行っていきましょう。

【誤解5】一人で外出しないように見守る
➡外出を禁止すれば、さらに欲求が強くなり、昼夜問わず時には玄関以外の場所から出かけようとする行動につながってしまいます。「実家に帰りたい」など、外出には必ず目的があります。ご近所の協力、GPSの所持、地域のSOSネットワークの活用など、外出を温かく見守る体制を作ることが重要です。

●認知症の誤解により介護離職
 家族が認知症になったら「誰かが近くにいて、サポートするべき」と考え、介護休暇や取得、離職するしかない、と考える方が少なくありません。ですが、一旦冷静になり認知症の誤解を解消しながら、プロと一緒に上手にサポート体制を構築すれば、仕事と介護の両立は十分に可能です。認知症のご家族をサポートしながら、仕事と介護を無理なく両立している方はたくさんいらっしゃいます。