2022.02.16

介護の負のループにハマらない方法

2022.02.16

介護の負のループにハマらない方法

 「高齢の親にできる限りの親孝行をしなければ」と支えていたら、いつの間にか、自身の身を滅ぼしかねない「介護の負のループ」にハマってしまう方が少なくありません。

●ある男性が「介護の負のループ」にハマるまで…

脳梗塞で倒れた母親が寝たきりに

寝がえりが打てない母親のかかとに褥(じょく)瘡(そう)<※>(床ずれ)ができる

母親にできた褥瘡を見てショックを受ける

介護関連の本を読み漁るなど、母親の褥瘡対策に尽力

努力の結果、母親の褥瘡が改善

母親にまた褥瘡ができる

自分の介護を深く反省

こまめに体位交換(寝返りを打たせる)をするために、テレワークを利用して、常に母親のそばにいる

十分な睡眠が取れず仕事にミスが増え、介護離職

介護疲れで胃潰瘍になり入院。母親も玉突きで強制入院

※褥(じょく)瘡(そう)(床ずれ)とは
寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうこと。(日本褥瘡学会より)

褥瘡のケアは、家族介護の中で改善という「成功体験」ができるケアの1つです。しかし、この「成功体験」が負のループにハマるキッカケとなってしまいます。

●プロでも難しい褥瘡ケア
 褥瘡を改善するには「栄養補給」「除圧(体位交換)」「保清(清潔な状態を保つ」などが挙げられます。ただ、日々刻々と変化していく高齢者の褥瘡のケアを完璧することは、プロであっても困難を極めます。 ところが、先に紹介した男性のように「負のループ」にハマり、「褥瘡を作らない・治す」ことが最優先の目標だと設定すると、「自身が近くにいないと褥瘡ができてしまう!ショートスティやデイサービスは使えない!」と、その成功体験が自身を追い詰めることになるのです。

●要介護者の目に、あなたはどう映っているのか
 ここで発想の転換をしてみてください。「負のループ」にハマっている男性は、寝たきりの母親の目に、どう映っているのでしょうか。介護に疲弊し、今にも倒れそうな子どもを見て「私のせいで…」と苦しんでいるのではないでしょうか。

●「負のループ」にハマらないコツ
 介護をする子どもは、出来るだけ早くプロのケアを頼ることで、「親の老い」を受け入れる気持ちの余裕を持ち「老いの変化は100%防ぐことはできない」と、心構えをしておくことが、「負のループ」にハマらない秘訣となります。