2023.08.16

親の介護とともに自身の老後を考えてみよう(前編)

2023.08.16

親の介護とともに自身の老後を考えてみよう(前編)

 いつやって来るのか分からないのが親の介護。想像しただけで不安や心配に襲われる方もいらっしゃるのかもしれません。ですが今回は親の介護から一旦離れ、いつかやってくる自身の老後や介護に目を向けてみましょう。自分の老後や介護について考えると、不思議と親の介護についても視点が変わって、気持ちが楽になることも多いのです。

●介護とは生き方そのものを考えること
 介護相談のひとつとして、ご家族の介護が終わった方のご相談を受けることも少なくありません。
ある時、企業内での介護相談の場に息子さんに連れられて、父親の介護を終えた母親が相談に来てくださいました。母親は自身の経験から、大柄だった父親の介護が大変だったので、「自分がいつか介護をされる側になった時の為に痩せた方がいいのか?」「家族やヘルパーさんに迷惑をかけないためにはどんな準備をしたらいいのか?」と心配されていました。
 私達介護の仕事に携わる人間は、介護を必要とされる方が日々どんな気持ちで生活をされているかを第一に考えます。その上で、その人らしく生きていくことを支えたいと願っています。なぜなら、その人らしさに触れて共感できることが、もっともやりがいを感じる瞬間であるからです。
例えば、甘いものを食べるのが大好きでそれを至福の時間を感じている人であれば、無理に取り上げたりせず見守っていきたいと考えます。ですので、息子さんと一緒に相談に来られた母親には、「この先どんな毎日を送りたいのか」「何をしている時に幸せを感じるのか」まず、ご自身のことを一番に考えていただきたいとお伝えしました。

●コントロールできないことを受け入れる
 私たちは、年齢を重ねるほど「老い」に向き合わなくてはなりません。「老い」とは、今まで思い通りに出来ていたことが出来なくなるなど、残念ながら誰もがコントロールできない自然現象です。
ですが、「年をとってもどんな毎日を過ごしたいのか」「社会的役割を終えた後の自由な老後をどう過ごしたいのか」について考えておくことはできます。「何が起きるか分からないからお金だけは貯めておこう」というのは実は浅い考えかもしれません。もっと深く想像して、自分自身と向き合って考えてみてはいかがでしょうか。