2024.04.17

能登半島地震から考える高齢な親の防災

2024.04.17

能登半島地震から考える高齢な親の防災

 2024年の元旦に能登半島を中心とした大きな地震に襲われました。災害時、高齢者は「災害弱者」となり、避難後にも命を落とす「災害関連死」のリスクが高くなりがちです。介護や障害などでサポートが必要な方が避難する「福祉避難所」が建物の損壊や人材不足で開設できない事例も散見されました。この機会に、改めて高齢の親の防災について考えていただきたいと思います。

●何気ないコミュニケーションから始める
 まずは、地震のニュースの話題に触れながら「災害が起きたときの準備って何かしている? うちはこんなことをしているけど…」といった、何気ないコミュニケーションから始めることをお勧めします。

「避難経路に余計なものを置いてない?」「家具の固定をしているの?」と責めるような言い方をすると、「準備しているから心配するな」と具体的なことは何も話し合えないままになることがあります。高齢の親と防災について話しをするためには、一緒に考える姿勢を大切にすることだ必要不可欠です。

●高齢の親と一緒に進める防災のポイント
 話し合いの姿勢を大切にしつつ、下記内容にどれくらい対応しているかを確認して、自身の防災も一緒に準備できると良いでしょう。

□非常時の連絡方法
→電話がつながりにくい可能性があるので、LINEや災害用伝言ダイヤルを活用

□ハザードマップの確認や親が住む地域の緊急避難情報などに登録
→親と一緒に地域の緊急避難情報に登録することも有効

□自治体の災害時要援護者名簿などへの登録
→自治体の要支援者の名簿(介護保険の認定とは別)に登録

□非常時の持ち出し品の準備
→購入したままの状態でないか、中身をチェック

□食料などの備蓄品のローリングストック
→賞味期限切れや買い足すローリングストックの時期も併せて確認

□自治会などによる避難訓練への参加
→身近な場所で行っている避難訓練の情報を調べて参加を促す

□近所の避難所や福祉避難所(※)の場所
→まず学校や公民館の避難所に避難し、サポートが必要な方は福祉避難所に避難、というルールも含めて確認する

□大きな家具の固定
→タンスや食器棚の固定器具が、緩んだりズレたりしていて固定されていないことも

※福祉避難所とは
高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する方を災害時に受け入れる避難所。公的な介護施設や障害者施設が指定されています。福祉避難所は、災害時に必要に応じて開設される二次的避難所であるため、発災当初から避難所として利用することができないのが通例です。

●高齢な親の防災で大切にしたいこと
 地震大国の日本で高齢の親の防災を考えると、普段からのコミュニケーションとともに、その土地に住み続ける親の想いの受け入れが大切になります。過去の被災地支援に関わる中で福祉避難所が立ち上がらず、厳しい避難生活を強いられていても、その土地を離れられない方がいらっしゃいました。先祖からの土地や墓を守るという使命感や土地への愛着は、高齢者の生きがいを支える大きな要因となることがあります。能登半島地震で二次避難が進まない現実からも、その想いも大切にする必要があるのではないかと考えております。
 この機会に親と防災について話し合うことで、親が住み続けてきた地域への想いを共有できるかもしれません。