2025.04.30
公的施設(特別養護老人ホーム)に確実に入居する方法
2025.04.30
団塊の世代が後期高齢者となり生じるさまざまな問題を「2025年問題」として長年懸念されてきました。2025年を迎えた今、不安視されているのが「介護難民」です。親の介護が必要になった時に、適切なサービスを受けることができなかったり、介護施設に入居したくても空きやその費用がないといった心配をされる方も多いようです。今回は、そんな不安を軽減していただける「公的施設に確実に入居する方法」についてお伝えします。
●公的と民間の老人ホームの違い
老人ホームとは、高齢者が入居する施設の一般的な総称です。老人ホームには大きく分けて、「公的施設」と「民間施設」の2種類があります。
民間施設では、家賃や食費などが施設ごとに料金が異なります。公的施設は、社会福祉法人や地方自治体が介護度の高い人や低所得者を支援するために運営し、在宅介護が困難な人を受け入れる傾向があります。料金も民間施設より安価に設定されています。
そのため、「民間の施設はお金がかかり」「公的な施設は空きがない」といったイメージを持たれている方が多いのが実態です。
公的施設(特別養護老人ホーム)は、年金収入だけで入れる仕組みになっており、たとえ身寄りがなく、経済的に困難な状況(非課税世帯や生活保護受給など)であったとしても入居が可能です。もちろん、金額の安さから待機者が多いのは事実ですが、私の介護相談に来られた方で、特別養護老人ホームへの申請から2週間で入居された方もいらっしゃいました。工夫次第では、長く待つことなく入居可能なケースもあるのです。
●公的施設に入居するまでの心構え
特別養護老人ホームの入居条件は、要介護3以上が原則となっています。要介護3とは「日常生活動作及び手段的日常生活動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介護が必要となる状態」(※1)と分類されています。
親が要介護3になるまで、家族は過度な負担とならぬように自宅での生活を継続していく必要があります。それさえできれば、たとえ申請から半年待ったとしても入居を急ぐ必要はないでしょう。
親に経済的な余裕はなく、この先、民間施設への入居はとても考えられないと思う人こそ、まだ介護状態が軽いうちから、準備や手続きを進めていただきたいです。お金がないから家族で介護をしていこうと考えて、仕事を休職するなどして関わることは、過度な負担により共倒れとなり、高額な民間施設を選択せざるを得ない状況に陥ることがあります。そうなると金銭的な負担も大きくのしかかってしまいます。お金の不安があるのなら、公的施設に入所するための準備を進めておくことが大切です。
●公的施設に無理なく入居するコツ
公的施設へ入居するためには、親が施設へ入居する想像がまだつかない、といった段階から準備を進めることが重要です。
親の住む地域の評判の良い公的施設(特別養護老人ホーム)を見つけて、その施設が提供しているサービス(ケアマネジャー、ホームヘルプ、デイサービス、ショートスティなど)を利用しておきましょう。事前に施設とのコミュニケーションを重ねることで信頼関係が生まれ、入居申し込みだけをするよりも早く確実に入居できる可能性が高くなります。
入居することになっても、慣れた人間関係があり入居する親の精神的な負担が軽減されます。将来的に入居する公的施設を選ぶ際は、当法人の「よりよい老人ホームの選び方5か条」(※2)も参考にしてみてください。
気持ちに余裕があるときの方が冷静な判断ができます。親が要介護状態になっても、家族の負担が少ない体制作りや心構えを今から考えておくと、選択肢を増やすことに繋がります。
※1 要介護認定の仕組み・厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kentou/15kourei/sankou3.html
※2 よりよい老人ホームの選び方5か条・となりのかいご
https://www.tonarino-kaigo.org/wp/wp-content/uploads/2020/01/Nursing-home-erabikata_20230925.pdf