2025.05.07
民間企業が運営する「有料老人ホーム」の後悔しない選び方
2025.05.07
多くの方がインターネットや新聞広告で目にするのは、「民間企業が運営する老人ホーム(有料老人ホーム)」のものです。施設の数も多く、ある程度金銭的な余裕があれば、比較的入居がしやすいのが特徴的です。ただし高いお金を払ったからと言って、必ずしもその金額に見合うサービスを受けられるとは限りません。今回は、「有料老人ホームの、後悔しない選び方」について、どのような点に注意したら良いのかお伝えします。
●老人ホームとは
老人ホームには大きく分けて、「公的施設」と「民間施設」の2種類があります。
公的施設(特別養護老人ホームなど)は、社会福祉法人や地方自治体が介護度の高い人や低所得者を支援するために運営し、在宅介護が困難な人を受け入れる傾向があります。
民間施設(以降、有料老人ホーム)は、家賃や食費など施設ごとに料金が異なり、高齢者個人の様々なニーズを満たすために、多種多様なサービスを受けることができます。
有料老人ホームは、数も多く金額やサービスも異なるため、沢山の条件の中から選ぶ必要があります。入居してすぐに施設が閉鎖したり、運営会社が変わり料金が引き上げられるケースがあります。
急速に事業が拡大している有料老人ホームは、運営面で課題を抱えたケースが多々あり注意が必要です。公的施設に比べ高額なところも多いため、費用を抑えるために地方の施設を選ぶ方もいらっしゃいますが、そこで質の良いケアが受けられるかということも慎重に見極めなければなりません。
●有料老人ホーム選びの注意点
施設選びで困った時に、空室があることをありがたいと思いすぐに入居を決めてしまう方もいますが、空き室があり簡単に入れる施設には注意が必要です。空室があるのは入居者募集に困っている人気がない施設で、入居後に思ったサービスが受けられなかった、などのトラブルに発展するリスクも高いかもしれません。
新規オープンキャンペーンで値引きを謳う施設も注意してください。値引きをしているのは、入居者募集に困っているということであり、事業計画に軌道修正が必要となっている可能性があります。
新規オープンの施設は、新しい建物や設備が魅力的に見えますが、働くスタッフの連携が上手に取れていないことがあります。施設で行う介護はチームで実施するケアなので、1人のスタッフのスキルが高くても良いサービスに繋がるとは限りません。
有料老人ホームの無料相談窓口でお勧めされた情報のみで良し悪しを判断するのもお勧めできません。無料相談窓口はホーム側から紹介手数料を徴収する仕組みとなっており、紹介先である老人ホームのマイナス情報は伝えてくれないこともあります。ただし様々な施設情報が集まっているので、鵜呑みにせず情報収集の手段の一つとして活用しましょう。
●「追い込まれてからの施設選び」を防ぐ
1番望ましくない施設選びは、家族だけで親の介護を抱え込んだ結果、家族介護に限界が来てしまい、急きょ入所できる施設を探すというケースです。高額な入居費用が必要となった場合に家族やきょうだい間でお金を分担することになったり、親自身が入居を納得していないのに急な環境変化を強いることにもなります。
こういったケースは、施設サービスの質に納得ができない、費用負担が継続できずきょうだい間の揉め事に発展する、など大きなトラブルを引き起こすリスクがあります。沢山の選択肢から探すことは労力のかかることですが、有料老人ホームの場合は特に、冷静な目を持つことが必要です。
大切な家族の“終の住処”だとして、金額や設備だけでなく、スタッフの様子やサービスの質も含め慎重に選びましょう。施設の質を見極めるには、当法人の「よりよい老人ホームの選び方5か条」(※2)をご参照いただき、すぐ入居できるは疑う、昼食の時間に見学する、事前に職員の離職率を調べる、看取りケアをしているかを聞く、などのポイントを押さえた施設見学が必要不可欠です。
※ よりよい老人ホームの選び方5か条・となりのかいご