2020.08.12

親が「物忘れ外来」の受診を拒否したら…

2020.08.12

親が「物忘れ外来」の受診を拒否したら…

親に「認知症の疑い」が見られた場合は、なるべく早く「物忘れ外来」などを受診することをおすすめします。ところが本人に自覚がない場合や、逆に自覚があるからこそ、恐怖心などから現実から目を背け、受診を拒否することがあります。

そのため、親にスムーズに受診してもらうには「コツ」が必要になります。

●コツ1:「強引に受診させない」
強引に受診させることで家族関係を崩してしまうと、その後の介護生活に大きな影響が出てしまいます。そのため地域包括支援センターに相談し、下記のような工夫で受診に結びつけることがカギとなります。

・健康診断から認知症の診断につなげてもらう
・皮膚科でも泌尿器科でも、親のかかりつけ医に相談して、医者から受診を進めてもらう
・恐怖心を持たずに受診ができる、地域の小さめのクリニックを探す
・訪問診療や訪問看護で、医者や看護師に来てもらう
・ご近所さんなどの友人に誘ってもらう
・自身(子ども)の病院付き添いという体裁で病院へ連れ出し、一緒に受診する
・孫から「おばあちゃん、心配だから一緒に病院行こうよ」と声掛けする

●コツ2:「家族だけで解決しようしない」
認知症はその原因となる疾患により対応が異なるため、家族だけでの介護は困難を極めます。よく教科書などには「認知症の人と付き合うための基本姿勢」として、以下のようなことが書かれていますが…

・話を否定しないで、ゆっくり話を聞く
・関わるときは落ち着いた口調で
・昔の話を興味深く聞く
・安心して会話できる話題を探す

「元気だったころの姿」を知っている家族は、現状との落差に苦しみ、上記のような対応は非常に難しいと言われています(認知症ケアのプロでさえも、自身の家族の対応は難しいのです)。だからこそ、プロに頼りながら介護することが重要になってくるのです。

「地域包括支援センター」をうまく頼りながら「早期発見・治療」により、認知症により不安を抱えている本人にとって適切な環境を整備することで、家族が疲弊することなく、自宅でこれまでのような暮らしを続けられるケースもあります。
介護のプロによる体制づくりが上手にできれば、親が認知症になっても(時には、一人暮らしでも)、働きながら介護することは十分可能となります。