2021.03.24

コロナ禍で会えない親から心配な連絡があったら…

2021.03.24

コロナ禍で会えない親から心配な連絡があったら…

コロナ禍で、「親と1年以上会っていない」という話や、定着したテレワークにより「会えないならば、親と同居するべきか?」といった相談が急増しています。そんな中で、以下のような相談を受けました。

●認知症が疑われる母を世話していた父が骨折…
 Aさんは、離れて暮らす父親から「お母さんの物忘れがひどくなっている」と電話で相談を受けました。「病院を受診してはどうか?」と提案するAさんに、父親は「そんなに簡単にいうな!」と感情的になるだけで、行動は起こしません。
そして、今度は父親が庭の植木を剪定中に梯子から足を滑らせて、右足骨折してしまいました。「足が痛くて生活が大変だ、、、」という父親の訴えに「この際、病院に入院してはどうか」とアドバイスすると「母さんもいるし、できるわけないだろ!」と感情的なるだけ。何も進まず、不安だけが募るAさんは仕事を休んで帰省した方が良いか、と悩んでいました。

●仕事を休んで帰省しないで!
 Aさんが帰省して説得しても、父親はより頑なになり、結果、Aさんは両親の生活のサポートを担うことになります。病院受診やヘルパー訪問を依頼しなくても(一時的には)何とかなってしまうのですが、Aさんがサポートを抱え込むことになり、共倒れや介護離職のリスクが高まってしまいます。

●離れて暮らす家族の強みを生かした関わりとは?
 私は「まずはお父様のお話(愚痴)の聞き役に徹してください。そこで聞き取った内容を地域包括支援センターにお知らせください」とのアドバイスをしました。Aさんの役割は、親の訴えから課題設定をして、その解決策を提案したり直接実施したりすることではなく、家族の内情を聞き、実態把握をした上で、的確な場所に発信することです。つまり、地域の相談窓口に家族の実態を伝えることが、離れて暮らす家族だからできる役割なのです。

●家族は聞き役に徹する
 Aさんのように「同居して、自分がサポートする」ことで課題解決を試みる方が多いのですが、それで解決できるのはAさんの「離れていることの不安」だけで、根本的な解決策にはなりません。重要なのは「物忘れやカラダの痛みがあっても、本人たちの希望する生活ができること」。ただ、家族だけでそういった冷静な課題設定をすることは難しいでしょう。(私も自分の親に冷静に課題設定する自信がありません)
そのため、家族の強みを生かして話の聞き役に徹して、客観的視点を持つ地域包括支援センターなどのプロにご相談いただきたいのです。