2021.04.14

コロナ禍で高齢の親に2次的な健康被害が生じている

2021.04.14

コロナ禍で高齢の親に2次的な健康被害が生じている

 コロナ禍となって1年が経過し、先日下記のニュースが報道され、強い危機感を覚えました。

コロナで外出自粛 高齢者の健康に深刻な影響 研究グループ調査 NHKニュース

●コロナ禍が高齢者の閉じこもりを促進した結果
筑波大学大学院の研究クループが、全国6つの自治体と協力し40代以上、約8000人を対象にアンケート調査の結果(上記のニュースより)

・2020年11月の時点で外出するのが週1回以下と答えたのは、
→70代で22%
→80代で28%
→90代で47%             

・60代以上では
→27%が「同じ事を何度も聞いたり物忘れが気になるようになった」
→50%が「生きがいや生活意欲がなくなった」

このように高齢者の外出機会が減少したことで、生活の変化が表れてきていることが分かりました。

●緊急事態宣言解除で親の老いを目の当たりに
 首都圏を中心に発出された緊急事態宣言の解除後に帰省し、閉じこもりがちの親の生活の変化を目の当たりにすれば、不安になるのは当然です。当法人がインターネットで1,600人に行った調査では、「介護を自分の手で行うことは親孝行になる」「認知症になったら自分(家族)がそばにいるべきだ」と考える人は、ともに6割強に達していました。
コロナ禍でテレワークがしやすくなり、親を見守りながら仕事をしよう、と考えるのは自然な流れだと思います。一方で「家族がそばで見守ることの弊害」があることも事実です。

●家族がそばで見守ることの弊害とは
 親子という近しい距離感で、もの忘れがひどくなった親へ穏やかに接したり、緩慢で不安定になった動作を見守ったりするのは、非常に難しいものです。介護職であっても、身内となるとつい手を出してしまいがちです。
 また、近くにいて子どもがサポートをすると、親はどんどん子どもに頼るようになります。このような“やりすぎ介護”状態になると、運動・認知機能がより低下し、互いの適切な距離感を見失って関係性が悪くなり、心身ともに疲弊し「こんな生活がいつまで続くのだろうか」と思い悩む状況に陥ります。

●コロナ禍こそ安心して任せられる介護体制づくりを
 コロナの感染を懸念し、介護サービスの利用を控える方がいらっしゃいます。厚労省は緊急事態宣言の発出後も、全国の介護サービス事業所に向け、利用者に必要な介護サービスの提供を継続するよう、通知を出しています。やはり介護サービス利用を自粛するべきではありません。
以前、私がデイサービスに勤務していたとき、介護のプロが複数人で「どうしたら、その人らしい生活を取り戻せるか」を試行錯誤した結果、QOL(生活の質)が向上して、「以前の父に戻ったようだ」と喜ばれたことがありました。

 運動機能の低下を防ぐためにデイサービス、家事のサポートにホームヘルパーを利用する。コロナ禍だからこそ、改めて介護のプロと一緒に“親の生活の課題”を解決する方法を検討してください。