2021.10.06

親の近くにいるきょうだいをサポートする方法

2021.10.06

親の近くにいるきょうだいをサポートする方法

 以前のコラムで『きょうだい間トラブルを防ぐのは「早めの情報発信」』として、企業での個別相談の事例から、「きょうだいへ早めに発信していきましょう」というお話しをさせていただきました。そこで、今回は逆の立場の方にある「介護を抱え込んでいるきょうだいをどうやってサポートしたらよいか」をご紹介させていただきます。

●母親の介護を抱え込む妹
【Bさんからのご相談】
・母が実家で一人暮らし
・母の物忘れが目立ってきており、近くに住む妹が、フルタイムの仕事をしながら実家に通っている
・妹は母親に対して介護保険の申請を勧めているが、母親はそれを頑なに拒否
・妹は「母さんが、私の言うことを全く聞いてくれない」と嘆きながらも、心配なので通いを続けている
・最近、母が妹に「うるさいから、もう来るな!」と言ってしまい、「私にはもう手に負えないから助けて!」と、兄であるBさんに連絡がしばし来るようになった

●Bさんが取るべき行動とは?
・妹の感情に巻き込まれて、Bさんが妹の代役となって、実家に通ってはいけない
・母親の住む地域の地域包括支援センターに、電話で現状を伝え、実家に訪問してもらい、母親と妹の状況を把握してもらう

●Bさんに迫るリスク
Bさんは、母親を自分の家に呼び寄せたり、テレワークを利用して実家で世話をするなど、感情的になっている妹に代わって直接的な介護を担うことだけは避けるべきです。家族全員が客観的な視点を失い、親子間、きょうだい間の衝突がより増えてしまうことが考えられます。その結果、それぞれの関係性が崩壊してしまい、取り返しがつかない状態になってしまったケースや、Bさんの立場にある方が、一人で介護を抱え込み介護離職を選択したケースを、これまでたくさん見てきました。

●まず、プロである第三者のアドバイスに耳を傾ける
 母親が自分で出来ることまで妹がやってしまっていないか、あるいは、母親が妹に頼り過ぎていないかを、第三者(地域包括支援センター)も交えて検証しましょう。  
コロナ禍により、介護が必要な母親の近くに住む妹に心理的なプレッシャーがかかり、それがストレスになっていることも十分考えられます。このような場合、離れて暮らすBさんよりも、プロである第三者のアドバイスの方が、冷静に受け入れやすいことが殆どです。
 地域包括支援センターに相談することで、今母にとって必要なサポートに関するアドバイスとともに、公的介護保険を利用するための申請もサポートしてもらえます。外部のサポートを頼れるようになることで、安心して任せられる介護体制を作ることができます。

●コロナ禍の介護で家族関係を崩さないために
 長引くコロナ禍で思うように帰省ができない中、「自分は離れて暮らしているが、近居や同居で親のサポートをしているきょうだいのことが心配だ」という悩みを抱えている方が増えています。どうか、この機会に客観的な視点をもつ第三者を交えて、近くで介護している人のストレスを軽減し、それぞれの関係性を崩さないための介護体制を構築していただければと思います。