2022.01.05

なかなか知られていない「デイサービス」の実態とは?

なかなか知られていない「デイサービス」の実態とは?

街中でデイサービスの看板や送迎車を目にすることが増えてきました。一方で、家族がデイサービスに通っていても、実際にどのような取り組みをしているか、なかなか知られていません。そこで、日帰りの送迎付きケアである「デイサービス」について解説させていただきます。

●「デイサービス(通所介護)」とは
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施します。
食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供します。施設は利用者の自宅から施設までの送迎も行います。
※厚生労働省ホームページより、一部編集

●デイサービスの1日の流れ
9~10時ごろ、送迎車が自宅までお迎え

施設に到着後、バイタル(脈拍あるいは心拍数・呼吸(数)・血圧・体温)チェック

お茶・コーヒーなどを飲む(水分補給)

午前のレクリエーション(体操、カラオケ、趣味の活動など)やリハビリなどを行う
※希望者は入浴

12時:昼食

午後のレクリエーション(体操、カラオケ、趣味の活動など)やリハビリなどを行う

・15時ごろ、おやつ

・16~17時、送迎車で自宅までお送り

●集団生活を強要されるわけではない
 デイサービスの利用にあたって、次のような心配をされるご家族がいらっしゃいます。

「うちの親はカラオケが苦手」
「みんなと同じことをするのは窮屈では?」

デイサービスでは、全員が同じことをするわけではなく、一人で過ごすことが好きな方は、雑誌や新聞などの読書、生け花、畑仕事など、自由に過ごすことも可能です。

●独自色を打ち出すデイサービスも
他のデイサービスとの差別化のはかるために独自のサービスを打ち出すところが増えています。

例えば…
・リハビリに特化した半日タイプ
・夜間までの延長利用可能
・小規模で個別にプログラムを行う
・認知症ケアに特化 など

●デイサービスの利用目的を理解することが重要
 デイサービスには、介護する家族が休息(レスパイト)する時間を作る目的もありますが、決して「デイサービス=家族の代わりに要介護者を預かるところ」ではありません。利用する本人の生活の質の向上を目指す、といった目的もあります。

例えば…
・話し相手となる友人を作る
・栄養バランスの良い食事を摂る
・心身機能を維持・向上するリハビリを行う
・趣味の活動を通して生活意欲を引き出す
・設備の整った場所で入浴のサポートを受ける など

デイサービスの利用目的は一人ひとりの状況によって異なります。ケアマネジャーとよく話し合い本人の希望や好きなことを尊重して探し、家族もそれを理解していることが大切です。
「見守る誰かがいないから通わせる場所」ではないことを理解していれば、テレワークで「家族が自宅にいれば、デイサービスの利用は不要」ではないのは当然です。本人の生活の質の向上のために、出来る限り利用の継続をしてください。

●デイサービスの利用を拒否されたら…
 通所を拒否する本人の言葉だけに振り回されずに、ケアマネジャーに相談をして、「なぜ強く拒否されるのか?」の原因究明が必要です。そこでの人間関係や食事の座席やリハビリの順番など、様々な原因が考えられますが、利用中止が本当の意味で本人のためになるのか、検討する必要があります。
デイサービスが本人と相性が合わなかった場合は、改めて別のデイサービスを見学や体験をするなど、本人と相性の良いところを探し直すこともできます。

●デイサービス利用の利点
 デイサービスを利用することで、他人からのサポートに慣れていけば、介護サービスの受け入れのハードルが下がり、将来的に施設へ入所しても混乱が少なく穏やかに過ごすことができます。また、デイサービスの利用を通して、本当の意味で本人が望む生活はどのようなものか、本人や支援者たち(ケアマネジャーやデイサービス職員)との対話を通して探っていく機会を得ることもできます。