2022.04.20

探し物を繰り返す親にどう対応するべきか?

2022.04.20

探し物を繰り返す親にどう対応するべきか?

「財布がない」「カギがない」

こんなセリフを親から何度も聞きくようになったら、すでに認知症の初期症状が表れているのかもしれません。

●家族として、探し物を繰り返す親に取るべき行動
・同居など、同じ空間にいる場合
⇒「いつもの場所にあるじゃないか!」「自分で勝手にしまう場所を変えたんだろう!」と言い返さず、演技でいいので一緒に探す
⇒何度も話しかけられ、探す姿を見るだけでイライラするならば、外出するなどしてその場を離れる

・電話などで聞いてくる場合
⇒「何度も電話しないで!」と怒らずに、「○○にあるんじゃない?」と落ち着いて答える
⇒イライラして電話に出るならば、電話に出ないのも重要

●すでに生活全般にも影響が出ているかも…
 探し物を繰り返す親の行動を「探し物が見つかれば良し」と、家族だけで対応しないでください。置いた場所を“忘れてしまう”ことが問題の本質です。すでに、生活全般に影響が及んでいる可能性も考えて、外部のサポートに頼ることを躊躇せず、早い段階からプロの力を借りてください。

●家族だからこそ認知症の介護が難しい理由
 親が探し物を繰り返す中で「もしかして、認知症?」との不安や焦りから、元気だった親の姿と比べて、感情的になりがちです。「なぜ、優しく関われないのか」と自身に腹を立て、イライラするのは相手が大切な家族だからこそです。心に余裕を持って関わるためにも、意識的に親との距離を取ることが、認知症ケアの理論上も正しいと考えられています。

●他人からケアを受ける効果とは
 介護のプロでも、自分の親の介護は難しいもの。他人であるプロのコミュニケーションは、程よい距離感を保ち生活に適度な刺激を与え、認知症の進行を緩やかにしたり、記憶に合わせた会話でストレスが軽減したりすることがあります。また、プロから家族の関わり方のアドバイスを受けることもできます。

●認知症になっても一人暮らしができる
 早い段階からプロに相談し、外部のサポートを利用すれば、親は住み慣れた土地でこれまで通りの暮らしを継続できるかもしれません。認知症の進行に応じて介護サービスの量を調整し、適切な親子の距離を維持することができます。

●誰に相談すればいいの?
 親の住む地域の“地域包括支援センター”に電話で、相談してください。早目の相談で病院から進行を遅らせる薬の処方、公的な介護サービスの利用、隣近所・民生委員・自治会などのサポートを受けて、安心して任せられる介護体制を築くことができます。