2022.12.08

リハビリ病院への転院から在宅介護の始まりまで

2022.12.08

リハビリ病院への転院から在宅介護の始まりまで

 父親が脳梗塞で倒れ、介護が必要になったBさん。救急病院での治療後、リハビリ病院へ転院し、退院後の在宅介護ではどんな起きるのか、どうすれば安定した介護体制をつくることができるのかをお伝えします。

●リハビリ病院への転院後に抱える悩み
 リハビリ病院への転院後のよくある相談に「本人がリハビリをしぶる」「リハビリを一生懸命にやらない」などがあります。家族は自宅に戻る前に少しでも体の状態を良くしてもらいたいのに、そのような状況に苛立ちを覚えるかもしれません。

 そこで、心に留めておきたいのは、リハビリは想像以上にきつく大変だということです。高齢であれば、若い頃と比べて体力が相当落ちています。

Bさんの父親では脳梗塞の後遺症で思うように体が動かないことに加え、「何事にもやる気が出ない」という症状がありました。リハビリは、本人の気持ちやモチベーションが大切です。家族は陰ながら見守り、できる限り本人のペースに委ねましょう。

●在宅介護のスタート
 リハビリ病院からの退院に向けて、入院中に介護申請をして介護認定を受けましょう。病院のソーシャルワーカーや地域包括支援センターの紹介でケアマネジャーが決まり、退院後に利用するデイサービスやヘルパーなどの介護サービス、電動ベッドや段差解消工事などの福祉用具レンタル・住宅改修といった在宅介護体制を構築した段階で退院しましょう。

 在宅介護でよく受ける相談に、デイサービスのお迎えが来ても行きたがらない、ヘルパーを受け入れない、などサービスの利用拒否があります。家族も申し訳なさからサービスの利用中止を検討しますが、本人がサービスの利用中止を申し出ても、諦めずに継続してください。突如始まった介護生活に不安を感じ、拒否反応が出るのは当然で、初めから快く受け入れる人はほとんどいません。

 拒否する本人を必死で説得したり、無理に送迎車に乗せる必要はありません。それでは家族の心労は絶えず、本人の気持ちもより頑なになります。デイケア、デイサービスのスタッフやホームヘルパーはそういった状況に慣れており、本人との信頼関係をつくるために必要なプロセスと認識しています。サービス直前に本人の気分が変わっても、その気持ちに寄り添いつつ、次につながるよう働きかけます。家族は要介護となった本人のつらさを受け止められる余裕を持ち、大きな気持ちで接してください。

●ケアマネジャーと連携をする
 Bさんの場合、実家で母親が父親を介護していましたが、ヘルパーやケアマネジャーに遠慮して愚痴もこぼさず、一人で無理することがありました。そんなときに陥りがちなのは、きょうだいで母親をサポートして、家族だけで介護を抱え込んでしまうことです。

 気持ちはわかりますが、介護に直接関わることが解決策ではありません。母親がケアマネジャーなど支援者に本音を言えなければ、家族はただ聞き役に徹して、その内容をケアマネジャーに伝えてください。ケアマネジャーは、母親の日々の困りごとから父親に必要と思われるケアを分析して、ヘルパーや各サービスなどを調整する役割を担っています。家族はケアマネジャーと母親をつなぎ、母親が無理せず過ごせるよう、できる限り客観的かつ冷静な判断ができるような立場にいることが重要です。

●安定した介護とは
 終わりの見えない介護では、関わる家族が無理をしない、頑張らないという意識を持つことがとても大切です。それが、被介護者への適切なケアにつながっていきます。ケアマネジャー、ヘルパー、デイケア・デイサービスのスタッフなど介護に関わるすべての方へ気軽に相談できるような状況を作ることで、長く続いても大丈夫と思える安定した介護体制になります。