2023.02.15

脳梗塞で倒れた父が在宅介護中に再入院〜在宅介護から施設への入居まで〜

2023.02.15

脳梗塞で倒れた父が在宅介護中に再入院〜在宅介護から施設への入居まで〜

 脳梗塞の後遺症で介護が必要になったBさんの父親が、入院後リハビリ施設から自宅に戻り、在宅介護をスタート。ところが、父親が誤嚥性肺炎を発症し再入院に。負担の大きくなる介護に、施設への入居を検討したBさん家族。在宅介護か、施設か。多くの方から寄せられる相談の一つでもあります。

●在宅介護のイレギュラーな事態
 介護の悩みを相談するなど、ケアマネジャーとの信頼関係が構築できたBさんの母親。デイサービスやショートステイを利用して、父親の介護生活も安定してきました。ところがある日、父親が誤嚥性肺炎を発症し再入院となってしまいました。

 脳梗塞の後遺症でもある嚥下障害。誤嚥とは、唾液や食べ物などが気管に入ってしまうことを指します。食べ物や唾液に含まれた細菌が気管から肺に入り込むことで起こるのが誤嚥性肺炎です。いくら家族が気をつけていても防ぐことは難しく、繰り返されることも多い症状です。

●いつなにが起こるかは誰にもわからない
 再入院となり嚥下障害を防ぐため日常的に痰の吸引が必要になったBさんの父親。吸引は、訪問看護師や研修を受けたホームヘルパーにお願いできますが、日夜いつ起こるかわからない誤嚥への不安と母親が抱えるケアの負担を考えて、Bさん家族は施設への入居を決めました。

●在宅介護を続けるか施設へ入居するかの選択
 緊急事態が起きても「できる限りのことをしなければ」と在宅介護を選択しがちです。しかし、大切なことは継続性のある介護かどうかです。介護者が体を壊したら、在宅介護は不可能です。無理をしている家族を見ている被介護者も胸が痛むはず。緊急事態が起きたときこそ、もう一度冷静になり考えてみる必要があります。
まずは、ケアマネジャーや病院のソーシャルワーカーに相談をすることが大切です。家族間でも話し合いを重ね、どんな選択肢があるのか、何が被介護者にとって一番いいのかを改めて考えてみましょう。

●入居施設を選ぶ大切なポイント
 脳梗塞から誤嚥性肺炎を起こされた方が入居できる主な施設
・有料老人ホーム
・特別養護老人ホーム
・介護療養型医療施設

施設選びのポイントは以下の3つ
1、必要なケアをしてもらえるのか
2、施設に勤務する職員の離職率が低い
3、看取りケアを行っているか

Bさんの父親であれば、痰の吸引が必要になることを事前に確認しなくてはいけません。費用が高いから良い施設とは限らず、安くても質のいいケアをしている施設があります。また費用は親の収入の中で収めることを判断基準の一つにしてください。両親共に介護が必要になっても費用負担できる施設を選ぶことが大切です。

 施設へ実際に足を運んで話を聞いて、比較検討しましょう。施設をすぐに決められない場合、さらにリハビリが必要な場合、入居希望の施設に空きがなかった場合の一時的な待機施設として、「老人保健施設」を利用することもできます。
施設を選ぶポイントの詳細は「よりよい老人ホームの選び方5か条」にも書いています。ぜひ参考にしてみてください。

●たくさん話し合って決めた選択肢が正解
 本人や介護している家族が納得してくれず、入居を決断できないこともあります。家族によって価値観や関係性はさまざまなので、在宅介護を選ぶことも一つの選択肢です。
大切なのは、被介護者が必要なケアを受けられること、介護を受けながらも穏やかな生活を送ることです。入居される本人にとって何が大切なのか、どうしたら家族の負担を減らし継続性のある介護ができるのか。介護に「これが正解」というものはありません。悩みぬいた上で決めた選択がその家族にとっての正解なのではないでしょうか。