2023.05.03

親の介護にお金の心配は必要ない!【前編】

2023.05.03

親の介護にお金の心配は必要ない!【前編】

 働く世代の介護相談では、「介護とお金」に関する相談が後を絶ちません。そこで、改めて私が日々の介護相談で確信した「介護におけるお金の心配は必要ない」という理由を【前編】と【後編】の2回に渡ってお伝えします。

●介護にかかるお金とは
 親の介護に直面したとき、「親の収入だけでまかなえるのか」「自分が負担をしなければならないのか」など心配になると思います。

【(公財)生命保険文化センター令和3年度生命保険に関する全国実態調査】によると…

・介護費用の平均金額は、月8.3万円
・介護の平均期間は5年

つまり…
・(8.3万円×12カ月)×5年≒約500万円

これは平均的な金額で介護に必要な金額は、被介護者の介護状態や世帯収入によっても大きく変わります。

 親の介護は親自身のお金で賄うことが重要です。家族が負担すれば、いつか長生きを喜べなくなってしまうためです。上述の金額を親の収入から支払うのが困難であっても、高額介護サービス費(※)といった介護費用を減免する制度があります。非課税世帯や生活保護世帯でも、介護保険のサービスを受けられるような仕組みになっていますので、ご安心ください。
※高額介護サービス費:https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1097.html

支える家族の収入が少なくても、両親が国民年金受給者や無年金であっても、必要な支援を受けることができるのです。

●家族で介護をすると、むしろ“高く”つく?
多くの場合、介護が必要になった親にはたくさんの支援やサービスが必要で、誰かがいつも近くで見守るべきだと考えます。介護保険では24時間見守りをヘルパーさんにお願いすることができません。ならば家族が見守り、そうすればお金もかからない思いがちですが、実際はそうではありません。
介護疲れで家族が倒れたら、急遽民間の老人ホーム(有料老人ホームなど)への入居となり数百万円単位の出費につながります。「親孝行をしたい」と自身の生活を変えてまで介護を優先される方もいますが、収入的なマイナスだけにとどまらず、気付かぬうちに過度な介護負担になり、精神的にも肉体的にも追い込まれてしまいます。

●親との距離感を維持して介護費用不足を防ぐ
 親の老いを直視し過ぎて介護の不安が高まると、介護費用が足りないと考える状況に陥っていきます。

〇親が老いていく姿を直視し過ぎて不安が高まる

〇できる限り直接支えることで自分の不安を下げようとする

〇介護に疲れてきて、たくさんの介護サービスが必要と考える

〇介護保険の介護サービスでは足りないと考える

〇仕事を減らして介護する

 介護相談でお金の不安を訴える方の多くは、知らず知らずのうちにこのような考え方から抜け出せずにいます。親の老いを直視し過ぎないよう、物理的にも心理的も距離感を維持することが介護費用不足を防ぐことになります。

【後編】では、「お金があっても不安は解決されない」など、介護に必要なのは「お金」だけではないということについてお伝えします。