2023.11.09
季節の変わり目で体調を崩しやすい高齢の親との向き合い方
2023.11.09
身体の体温調整機能が低下している高齢の親にとって、日々、寒くなっていくこの時期は厳しい季節になることが十分予測されます。そこで、季節の変わり目で気を付けておくべきこと、家族としてどのように関わっていくべきか、についてお伝えしたいと思います。
●高齢になると体温調整の機能も低下
高齢者は暑さ寒さを感じにくく、冬になっても真夏の服装のまま、冷房を入れて、夏の布団のまま寝ていることがあります。
私たちは寒ければ、鳥肌が立ったり、身体を振るわせて、体温調整する機能が働きますが、こういった機能も落ちている高齢者の場合はさらに体温を下げてしまうことになります。
また、喉の渇きを感じ辛いこともあって、水分摂取も進まずにウィルスに感染しやすい状態となっているケースも多々あります。
●「体調を崩さぬように!」と支えた結果…
高齢の親が「体調を崩さぬよう見守らなければ」と衣替えの手伝いや空調の設定温度の管理をスタートし、日々の様子を見守るため帰省の頻度を高める方もいます。
ただ、仕事をしながら親の体調管理をするのは本当に難しいことです。親は困っているわけではないので「これくらい自分でやってくれない?」とお願いしても、なかなか行動には移してくれません。
結果「そんな薄着をして! 少しは自分で体調管理してよ!」と、口調がきつくなり、衝突が増えてしまうこともあるでしょう。親の体調管理を徹底して、風邪を引かずに済んでも、家族の関係が悪くなってしまうのは考えものです。
●「年を取ったら仕方ない」と考えることも大切
体調管理の徹底を最優先とする目指すならば、生活を全般的にサポートしてくれる老人ホームへの入居が良い選択なのでしょう(それでも、絶対に風邪を引かない訳ではありませんが…)。
ただ、日常的なサポートの必要がない状態であれば「慣れ親しんだ自宅で過ごしたい」と、高齢の親が主張するケースが殆どです。そうであれば、自由気ままな生活とともに体調を崩すリスクを負っている、と考えても良いのではないでしょうか。
「コロナやインフルエンザを予防しなければ!」と、家族としての責任感を強めてしまう方もいらっしゃいます。しかし、介護が必要でない段階から親の生活に干渉していくと、いざ日常的な介護が必要になったら、親との関係が険悪になり、支える側が先に倒れてしまいます。
●親の体調変化を「老いの受け入れ」の準備期間にする
仕事では、いち早く課題を発見し解決に向けたタスクにコミットすることが求められます。一方で家族の介護の場面では、親の老いや体調変化に課題を設定せず、うまく付き合っていくことが重要です。風邪をひきやすくなる、転びやすくなる、物覚えが悪くなる、は老いの自然現象で止めることはできません。
家族のサポートや介護をするときの目標は「できるだけ頑張って支える」ではなく「互いの関係性を良好な状態に維持することに徹して適度な距離感を保つ」にしてください。
できなくなることが増えていく親の生活を目の当たりにすれば、イライラしたり、過干渉になったりしてしまうものです。だからこそ適度な距離感を保ち「年を取ったら仕方ない」「自分が年を取ったときはどうなるのかな」と考えられる余裕を持ち続けることが、老いていく親に優しく接するコツです。