2024.02.07

大手企業による介護会社買収から考える老人ホームの選び方

2024.02.07

大手企業による介護会社買収から考える老人ホームの選び方

 2023年11月末に「日本生命 介護最大手 ニチイ学館の親会社を約2100億円で買収へ
これまでも大手企業が買収により介護事業に参入するケースは多々見られてきました。団塊の世代が要介護状態となりやすい2035年ごろに向けて、事業シェアを奪い合う動きがさらに活発化することが予測されます。このような環境下で私たちはどのような視点で介護サービスを選ぶべきなのでしょうか。

●選択を迫られる場面は老人ホーム選び
 介護サービスの選択を迫られるタイミングは、老人ホーム選びとなることが殆どです。ホームヘルパーやデイサービスに代表される在宅介護サービスについては、地域包括支援センターやケアマネジャーが作成してくれるケアプランにより、要介護者の要望や地域の状況によって提案されるためです。

●大手企業が運営する老人ホームを選ぶメリットとデメリット
 今回は、老人ホームのケアの質と運営事業者の関係について解説させていただきます。

【大手企業が運営する老人ホームを選ぶメリット】
・倒産による閉鎖のリスクが低い
民間企業が運営する有料老人ホームは、入居時の前払い家賃として入居一時金が設定されています。高額な入居一時金を支払っても、運営会社の倒産で入居金の返還規定が守られず、多額の損失を負うケースもありました。入居していた施設が閉鎖すれば、他の施設を探さなければならず、さらなる金銭負担が家族の心身に負担をかかります。倒産のリスクが低いことは安定した介護サービスが継続されるという意味で、大変重要なポイントです。

【大手企業が運営する老人ホームを選ぶデメリット】
・優秀な職員や施設長の人事異動起きる
老人ホームで介護サービスを提供するのは人であるため、職員や施設長の入れ替わりによりケアの質は大きく左右します。入居者と職員の信頼関係構築には時間を要しますが、入れ替わりが繰り返されると、信頼関係が構築できないままにケアを受けることになります。有料老人ホームがもっとも利益を生むのは、新規施設のオープン時で、そこに優秀な人材を集中させるのは民間企業として当然の経営判断です。人材育成と新規施設を展開するスピードのバランスを見誤れば、既存施設のケアの質が著しく低下してしまうケースも散見されます。

●大手企業の老人ホームを選ぶ際のポイント
 介護相談でも「〇〇が運営している老人ホームだから安心ですよね」と考えられる方が少なくありません。上述のデメリット(優秀な人材の異動)などから“安心”と言い切ることはできません。大手企業が運営する老人ホームでも、全てのホームのケアが均質となっているわけではなく、施設長や職員によってケアの質にばらつきがあるのは、人が提供している介護サービスであれば当然のことです。
当法人が発行している「よりよい老人ホームの選び方5か条」で各施設を比較検討することをお勧めしております。特に、職員の離職率は同系列のホームでも差が見られることがあります。

老人ホーム選びで重要なのは「時間」です。老人ホーム選びに余裕が持てる時間さえあれば、老人ホーム選びの失敗の多くは防ぐことができます。